秋の夜長に、こんな映画はいかがですか。英国が誇る名俳優たちが、これでもかこれでもかとステキな名演技をおみまいしてくる静かな、しかし、ジワジワとヒトの内面を追い詰めていくスパイ映画。
ときは、冷戦時代のころ。
はっきりいうと、1回の視聴では「さっぱりわかりません」なにがどうなったのか、裏切り者はわかったけど、え? なんでこうなったん? そんな感想になってしまうかもしれません。それも無理のない話です。1回目は人物の役割を覚えていたらいい感じ。
予告編を観ていれば、ふんいき伝わると思いますが、雰囲気がそのまま淡々と続く灰色の映画です。噂に聞くところによると、遠く英国ではこの作品の原作を、日本の年末年始の忠臣蔵よろしく豪華キャストでおみまいしていくらしい。……つーことは、大体の人はオチがわかっていて、さて今年はどんなキャストで来るかなー? なんて楽しみにしているところもあるのでしょう。知らんけど。
私がこの映画を観たのは数年前。普段鬼の上司が「マジイケてる英国俳優さんたちの、脂ギッシュギッタギタのイケオジ色気満載桃色映画。エロ目無しでは観られない、君に絶えられるか」として私に売り込んできたのですが、一瞬ホモを疑いました。そしてこの映画を観て、上司のホモ疑惑がさらに濃厚になりました。
切迫感と嘘、欺瞞、不信感。灰色の映画の中でさえ映えてしまう、脂ギッシュギッタギタの男のエロ味を紅茶パックに詰め込んで、日本にそのままやってきてしまった。そんな感じ。(脱ぐシーンはありません安心してください)
こんなイケオジたちの集まる会議室嫌だなあ…と思う反面、背面の吸音スポンジになりたい(音が漏れないようにしているのでしょうね、音響効果的なところに顔を出していたことがあるので覚えていますが、あれは吸音スポンジです)
鬼上司は言います。
「ハン、その辺の腐女子には負けんよ。野郎だからこそ分かる男の色気ってのがあるんだよ。かくありたい、男の色気」
いっそのこと、鬼上司が腐れ向きコンテンツ書けば、一旗あげられるんじゃないかなぁ……。などと思いつつ、今日は皆さんにこの映画をオススメします。
俳優さんの演技は、それはそれはもう。合わずとも分かるような名演者ばかり。1回目は役割を把握して、2回目は「どこで裏切りに気付いたか」「どうして裏切り者の言うことを敢えて聞いてやったのか」「主人公の真たる弱点は何で、何故自覚していてもなお手放そうとしないのか」など、色々想像していく余地があり、いまでも楽しく見ています。Blu-rayも買っちまいました。美しい灰色映画です。
スパイ映画に相応しく、頭を殴ってくるような暗い音楽から、底抜けに明るい音楽まで色とりどり。
ここ10年ほど私のオススメ映画として、ずっとノミネートされていくであろうと思います。是非是非に。アマプラ、Netflix、Hulu、その他諸々の配信サイトでガンガン流してくれてます。見てみてください、色気のみならず、本当に素晴らしいスパイ映画です。
大好きなシーンは、カンバーバッチ扮する若いエージェントが資料室で資料を見ているシーン。なにからなにまでスラッとシュッとしていて、見惚れてしまいました。近づけぬ、近づいたらいけない美ってあるんやなあ……。
それではまた!
今度は何か生活に関してオススメのものでも探しておきます。誰かのお役に立てればいいのですが……。