昔々のこと。男さんが私に問いました。「作るのが好きな料理ってなに?」私は言いました、肉じゃがと。すると返ってきた言葉が「家庭的アピ乙」でした。家庭的をアピったわけでもなんでもないのに、そこをどうして攻撃的に返されなくてはならないのか。そこに冗談が含まれるのであるならば、ママの旦那ごっこしてないで、もう少し女の扱いでも磨いて冗談の言い方とやら学んでこい、このスットコドッコイ童貞崩れ! 私は意味もなく攻撃的になられることが大嫌いだし、他は水に流してもそこは根に持つからな!
それを笑って許すこと、というのは許容のひとつで、またそれを許せない自分は確実に恋愛ヒエラルキーの底辺にいる、というのは見過ごせない事実。ただ、言わせて欲しいものは言わせて欲しいのだ。
俺は女を知っていると言う割に、全く空気を読もうとしない童貞崩れ(公の場で愛人がいると堂々とのたまうアホ既婚者も含めて)の面倒さを語り出しても、彼らが死に絶えるわけでもなく、自分たちがヒエラルキーの頂点にあると思い込んでいるであろう彼らには、ため息ひとつと首振りの三秒で終わるので、いま、これ以上はやめておきます。
童貞崩れに食わせる肉じゃがは持ち合わせていないし、私がキレたところで、そもそも童貞崩れさんにすら求められることもないし、みんな大好きTwitterランドには作った料理写真を載せるだけで烈火の如く怒り出す女さんもいます。あれは一体何故なのか。料理が出来なくて怒るのならお門違いだし、怒るだけお腹は空く。ならば肉じゃが食べようぜ?
今回は肉じゃが回です。
家庭的アピ乙と嘲笑われる程度には、肉じゃがというものは家庭的な料理なのでしょう。その人によりけりで作り方も様々、千差万別。
私の作り方はいたってシンプルで、玉ねぎを刻んでごま油で炒め、牛肉を投入。さらに炒めた上でジャガイモを入れて、醤油大さじ2、砂糖大さじ1、みりん大さじ1、だしの素を適量、後は水を材料ヒタヒタになるくらいまで入れて、強火でガンガン煮て水分を飛ばす。以上だ!
長時間煮込まないのでシットリした肉じゃがではなく、カラッとした肉じゃがの出来上がり。しかし、これはこれで美味しい。
本当の家庭的ってのは、肉じゃが作っている間に、味噌汁作って調理器具洗って、炊けたお米に空気を混ぜるようにしゃもじで切って、足りなくなった食材をサクサクとメモして、お風呂掃除してお湯張りして、入浴剤入れて、取り込んだ洗濯物を畳んでタンスの中に突っ込み、洗ったバスタオルを脱衣所に持って行き、台所で肉じゃがの進捗を確認してから、軽くトイレ掃除に向かうような人であって、料理を誇る人では無く、料理はあくまでも一部分でしか無いんだと私は思うよ。
ああ、衣替えの季節だ。防虫剤買わないといかんなあ。大丈夫、私はひっくり返っても恋愛ヒエラルキーの底辺だから、家庭的を名乗ろうがなにをしようが。